2015年8月15日土曜日

Day 8 これは心霊スポットか、ルーベルト?

「怖い場所に行くと霊感が敏感になるし、運も上がるんだよなぁ~たぶん」と父親に言われたトニーは、フトニーと一緒に、ネットで調べた怖い場所に車で出かけた。
 車を走らせて5分後、さっそくフトニーがなんだか霊感を感じ始めたのか、トニーに話しかけた、「おい、トニー、なんだかフワフワした感じ、しないか?」。するとトニーが、「確かにそうかもな…それに、なんだか景色があまり変わらないような気もするし…怖いな」と応えた。
 寒気がして、一旦車から降りた2人は、タイヤが全部外れていたことに気付いた。
「誰の仕業だ!!」と、降りて目の前にあった中古タイヤ屋経営者のおやじが、見覚えのある4つのタイヤを磨きながら言った。おそらくこのタイヤ屋のおやじが犯人だろうが、店の名前を見て、2人は怖くなって逃げた。「中古タイヤ、やくざ&ゴースト」。

 とりあえず、車輪なき車を移動させないといけない。そこで、二人は同時に、『誰かカレーかレッカー社』という、カレー屋兼レッカー車事業を営む会社にすぐに電話した。トニーの携帯が先につながり、二人はタイヤが取れた(いや、おそらく盗られたであろう)車をレッカー車で移動してもらいながら、車中でデリバリーカレーを食べた。
 その後、レッカー車の会社に着いてから、その会社の近くのタイヤ屋でタイヤをはめてもらった。

 再び怖い場所に向かって車を走らせて2時間後、「200メートル先、心霊スポット!!」という、大きな場内アナウンスが近くのパチンコ屋から聞こえてきた。「おい、トニー、そろそろじゃね~か?」とフトニーがトニーに向かって言うと、トニーが既に青白い顔で、「フトニー、車止めてれ、早く」と、手で腹を抑えている。
 近くのコンビニに駆け込んだトニーは、10分後清々しい顔で出てきた。「いやぁ~、さっきのカレーだわ、これ」と、カレーで腹を壊したようだ。「カレーで食あたりなんて、カレーこれ10年ぶりじゃないか…、いや、3週間ブリブリかもな…」などと、目を少し白黒させている。
 フトニーは、既に怖くなってきた。フトニーはトニーに、「今日は一旦、帰ろう、トニー。やばそうだから、ここは」と言って、出発前にトニーの父親からもらった、呪いのベルトをなんとか外した。


 家に帰ると、トニーは両親に事情をすべて説明した。車を走らせて5分で、早速霊感を感じ始めたこと、そのせいか、タイヤが4つすべて消失したこと、『誰かカレーかレッカー社』を呼んだこと、『誰かカレーかレッカー社』のカレーにあたったこと、「200メートル先、心霊スポット!!」という、大きな場内アナウンスが近くのパチンコ屋から聞こえてきたこと、帰る前にフトニーが呪いのベルトをなんとか外したこと、そして、本当は、帰りにもう一度頼んだ『誰かカレー』を食べて、呪いのベルトにルーが少し付いてしまったこと…。
 そんなトニーの話しを微笑ましく聞きながら、父さんは微笑を浮かべて、『誰かカレーかレッカー社』のウェブちらしを印刷していた。

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