2015年8月8日土曜日

Day 5 パワースポットでかかる

「来年夏のサマージャンボ宝くじに向けて、冬の今のうちから金運を上げるために、俺の代わりにパワースポットへ行ってくれ」と父親に言われたトニーは、自宅から車で1時間ほどのところにあるパワースポットへフトニーと向かった。
 自宅から5分ほどのところにあるコンビニでフトニーは、数日続いていたという便秘を一挙に解消。「さすがパワースポットだな」とフトニーが言うと、「途中でこのパワーだからな」と、トニーが激しく頷く。
 二人はコンビニを出て車を走らせる。だがすぐに、車の前輪がボッロンと外れた。そしてグングンとパワースポットに導かれるように、前に転がっていく。それを見た2人は、「パワースポットは、あっちの方角だな」と指をさして車に戻る。すると、近くにいたおじさんが入れ歯を入れるように、替えの前輪をスポッと入れてくれた。


 パワースポットに着いた二人は、周りの景色を見渡した。「本当にここがパワースポットなのか」と疑問を抱いたが、ちょうどパワースポットの真ん中の柱にひらがなで、「ぱわぁ」と書いてあったのを見て一安心。
 少し腹が減った二人は、パワースポットの中にあった焼肉屋へ入った。満席で20人程度は入れるかという店内で、店内には93歳ぐらいの店主が一人。トニーとフトニーは同じテーブルで、店主と一緒に焼き肉を食べた。A5クラスじゃないかという高級和牛の動画をユーチューブで見ながら、G3の肉を一緒に焼いて食べた。焼き肉がバチバチと音を立てながら焼けてくると、「うわっ!!! すごい油ですね!!」とトニーが店主に言った。すると店主は、「パワースポットだからね、うちは」と、笑顔で、口いっぱいに生焼けのもやしを入れながら応えた。
 食べ終えて焼肉屋を出たトニーとフトニーは、油でギットギトになった手を、パワースポットの手洗い所で、ハンドソープを使ってスパットと洗い流した。指紋が消えそうなぐらいきれいになった手を見て、二人は声を揃えて言った、「さすがパワースポットだな」。


 ものすごい早さで森林をなぎ倒すように運転する夢を思い出しながら、トニーは40キロ前後で安全運転。「ちょっとパワースポットにパワー盗られたかも」とトニーが言うと、フトニーが、「あの肉の影響ジャマイカ。俺もちょっと腹の調子が悪い」と応えた。

 家に帰ると、トニーは両親に事情をすべて説明した。パワースポットに行く途中のコンビニで、フトニーが便秘を解消するほどの便を排出したこと。コンビニを出たら、車の前輪がボッロンと外れたこと。パワースポットの中にあった焼肉屋で、高級和牛の動画をユーチューブで見ながら、G3の肉を93歳ぐらいの店主と一緒に食べたこと。フトニーが便秘を解消したパワースポットコンビニに帰りも寄って、フトニーが軟便を解消したこと。その話を聞きながら、トニーの母さんは鏡を見ながら、額に書かれた腐肉という文字を消していた。
 その話が終わった跡、トニーは自分の部屋に戻り、天上の監視カメラを見ながら寝た。ただ、フトニーから寝る前に送られてきたメールが少しひっかかっていた、「あのじーさん、すごかったな」。

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