2015年8月20日木曜日

Day 11 スイッチの悲劇

 トニーは今日、甲子園の決勝を見るために、トニーと甲子園に行くことにした。運転手はいつものようにフトニーだ。左ハンドル仕様の車を、右ハンドルにして、「やっぱりスイッチヒッターみたいでかっこいいよな」と得意げなフトニー。「無理やり右ハンにして大丈夫なの?」と車の免許がないトニーがフトニーに言うと、フトニーが、「右ハンって何よ w 炒飯じゃないんだから w」と、フライパンを激しく上下に動かすジェスチャーをしながら、中華料理屋の前に車を止めた。
 中華料理屋で炒飯セットを頼んだ二人は、店内のテレビを見て注文を待っていた。「よし!、まだ分からんぞ!! 逆転あるぞ!!」などと店内は盛り上がっている。フトニーがトニーに、「これ、すごいゲームになってるな!」と言うと、トニーも興奮気味に、「さすが決勝だよな、甲子園の!!」。うん?

 フトニーとトニーが中華料理屋を出た頃には、既に決勝は7回まで終わっていた。フトニーがトニーに、「ここから甲子園までは、高速で飛ばしても5時間かかるぞ?」と言うと、トニーは、「飛行機にすっか?」と提案した。「いや、飛行機でも2時間ぐらいかかるんじゃね?」と、フトニーが左ハンドルに変えながら言った。するとトニーが、「うわぁっ!!」と、フトニーが急に左座席に来た時に、トニーが右座席に無理やり移動した際に、トニーの手が変な角度に曲がり、脇腹辺りが痙攣した。「もう無理だ、今日は無理だ」と、録音済みの音声を再生しながらトニーに意思を伝えた。「じゃあしょうがない」と、フトニーは右ハンドルに変えようと、右座席に移動する際に、痙攣したトニーを避けようとして腰をやった。「これは、やばいな、ヤンバルクイナ」と言って、車の窓から通りがかりの米軍兵に助けを求めた。「ダイジョウブデスカ?」と言って、親切な米兵が米軍のレッカー車をチャーターして、トニーの家まで送り届けてくれた。「コレ、コウシエンノケッショウノドウガリンクデス」と、動画サイトに違法に高速アップデートされた、さっきの決勝のフル動画を教えてくれた。


 家に帰ると、トニーは両親に事情をすべて説明した。甲子園に行こうとしたが、途中に寄った中華料理屋のテレビで、既に7回まで進んでいたことに気付いたこと、フトニーのスイッチハンドル車で、右左をスイッチ中に、トニーが脇腹辺りが痙攣した一方で、フトニーはその後の連続スイッチで腰をヒットしたこと、その危機を米軍に助けられたこと、その米兵が家まで送り届けくれたこと、その米兵に甲子園決勝のフル動画がアップされているサイトのリンク名を教えてもらったこと、そして、その動画を見ようと教えてもらったアドレスにアクセスすると、沖縄の米軍施設の辺野古移設を全面的に支持するサイトにリダイレクトされたこと。
 そんなトニーの話しを台所で聞いていた母さんが、時折フライパンを右手、左手にスイッチして、勢い良く上下に動かし、夕食の炒飯を作りながらトニーに言った、「本当に大変よ、スイッチって」。

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