2015年8月13日木曜日

Day 6 ダッフンダの秘密と幸運の兆し

「ダッフンダを踏んだら運が上がる」。
フトニーがネットで入手したという情報を頼りに、トニーはフトニーと一緒にダッフンダを探しに家を出た。
「人生なんて結局運がすべてだろ、トニー。そう思わないか?」とフトニーが車の中でトニーに言った。実際に、トニーの父さんが去年サマージャンボ宝くじの1等を当てた当日、家を出てすぐに犬のうんこを踏んだ。そのせいで一度家に帰り、新しい靴に履き替えてから宝くじ売り場に向かったが、そのおかげで当選した。もし、あの時普通に売り場に行っていたら、当たっていなかった。そんな話をフトニーに車中で話しながら、トニーは靴の裏についていた馬の糞を振りほどいた。「うわぁ~」とフトニーに嫌な顔をされたが、フトニーの顔にはどことなく神妙な笑みが浮かんでいる。
「これはキタナ、俺」
「キタナどころじゃないぞ。汚いぞ」


 自宅から車で2時間ほどの場所に着いた。途中でガソリンがなくなり、二人で一緒に車を押したり、その辺にいた馬に車を引っ張ってもらったり、なかなかの道中だった。
 車から降りた2人は、ダッフンダがあると言う、森の中に入っていた。
「もう踏むなよ、トニー」
「分かってるって、フトニー」
森の中には、いろんな動物の、消化器官から排泄されるアレが大量にあった。ソレを時にはジャンプしながら、ある時はそのジャンプのせいで逆に深くアレが靴の裏に突き刺さりながらも、なんとかダッフンダを求めて、森の深みへと進んでいくと、ダッフンダがありそうな雰囲気がガンガン漂っている、うんこの形をした寺みたいな場所に辿り着いた。
「ここで、マチガイナイ」。
二人は興奮して同時に言った。
 アレの形をした寺みたいな場所の肛門をかいくぐると、住職らしき人が、糞の形をした帽子を取ってあいさつをしてきた。
「ダッフンダ」
「だ、ダッフンダ……」
トニーが恐る恐るダッフンダと応答すると、フトニーがトニーに、「もっと丁寧に!」と強く言った。そして住職らしき人に、「すいません! ダ、ダッフンダです m(_ _)m」とトニーが言い直すと、住職が、「いいんですよ。どうせ、ここにもはや、ダッフンダはありませんから…」。
「どういうことですか?」
「今まで何人もの人がここに来たせいで、もうダッフンダが空になってしまったんです。いや、正確に言うと、実際にはダッフンダなんて、なかったんでしょうね、きっと…」
 和尚がそう答えると、急に突風が吹いてきた。それに反応して鼻がムズムズしてきたのか、和尚が、「ダッ、ダッフンダァ!!!」と大きなくしゃみをした。そのくしゃみを見たフトニーがトニーに言った、「これはないわ。こうなったら、ダッフンダはないってことだから」。「だよな、こんなの都市伝説だよな」と納得したトニーを乗せて帰った。フトニーは外国製の愛車、DAFFUNDAのアクセルをしっかりと踏んだ。
 

 家に帰ると、トニーは両親に事情をすべて説明した。途中でガソリンがなくなり、フトニーと二人で一緒に車を押したり、その辺にいた馬に車を引っ張ってもらったこと、森の中には、いろんな動物の消化器官から排泄されるアレが大量にあったこと、うんこの形をした寺みたいな場所に辿り着いたこと、結局ダッフンダはなかったこと、そして、本当は、和尚が飼っていた馬に思いっきり蹴られたこと。それを聞いたトニーの父さんは、トニーが寝る前に一言言った、「大きな幸運がやって来る前の人生ってのは、ふんだり蹴ったりだ」。

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