2015年8月19日水曜日

Day 10 お化け屋敷の怪談

 トニーは今日フトニーと、暇つぶしにお化け屋敷に行った。
 フトニーがトニーを迎えに、トニーの家に来た。フトニーはトニーを驚かそうと、血の付いたキン肉マンの仮面をかぶって玄関に入ってきたが、同じ仮面を逆さまにしていたトニーを見てめまい。出発前に、フトニーは2時間トニーの部屋で寝た。
「いやぁ~、ゴメンゴメン」と言って起きてきたフトニーは、「恐ろしい夢を見たんだけど」と言って、トニーに怖い夢の内容を話した。
 フトニー家の金銭的な源泉である懸賞がまったく当たらなくなった夢らしい。さらに、トニー家の金運もすっかり落ちて、トニーが50代になって初めて仕事をする羽目になるという夢。
 二人は寒気がしてきたので、かき氷を2割ほど残した。
「まっ、おかげでお化け屋敷に行く前に、いいウォーミングアップになったな」とフトニーが言うと、トニーが、「いや、クールダウンじゃないか」と訂正した。どうでもいい。きのこの山とタケノコの里、どっちが好き?、という質問ぐらいどうでもいい。

 フトニーが運転席に座ると、トニーが、「後部座席になんか気配を感じないか?」と言った。「おい、脅かすなよ、フトニー!!」と、ヘリウムガスを吸って変な声で言ってきた。怖くなってきた二人は、トランクを開けて酸素ボンベを装着。
「よしっ!」と声を合わせて、お化け屋敷に向かった。


 運良く巻き込まれなかった3件の交通事故を除き、何事もなくお化け屋敷に着くと、中が真っ暗だった。そして入口付近には、一枚の張り紙が張ってあった、
「入場料 大人:1200円 子ども600円 お化け無料」。
フトニーとトニーは受付で2400円を払うと、店員が、「600円足りませんよ」と言った。
「えっ、大人二人ですけど…」とフトニーが言うと、「後ろのお子さんはご一緒じゃないんですか?」と店員が真顔で言う。フトニーとトニーが慌てて振り返ると、後ろには誰もいない。「誰もいませんけど」とトニーが言うと、「冗談ですよ、冗談」と店員が指を微かに横に動かしながら半笑いで応えた。
 変な応対だったが、これもお化け屋敷ジョークだろうと考えて、二人はお化け屋敷の入口に向かうために、階段を降りると、突然「ガクン!!!!!」と階段の下に落ちた。二人は大きな声で叫んだが、下にはお化けの仮面やらコスチュームを準備していた従業員たちの控室。しかも、「あそこでヘリウムガスを吸った後、もっと大きな声で脅かして!」とか、「客の胸は揉むなよ」とか、いろいろとしゃべっているのを聞いたトニーとフトニーは、テンションが下がってお化け屋敷を出てきた。


 家に帰ると、トニーは両親に事情をすべて説明した。お化け屋敷に行く前に、フトニーが演技でもない夢を見たこと、そのせいでかき氷を2割ほど残したこと、運良く巻き込まれなかった3件の交通事故を除いて、何事もなくお化け屋敷に無事に着いたこと、子供料金を追加でぼったくられそうになったこと、階段の下に落ちたこと、落ちた先が従業員たちの控室で、テンションが下がってお化け屋敷を出たこと、そして、帰り際に気付いたが、実は、受付の店員が自分の息子の料金をトニーとフトニーに払わせようとしていたこと。
 そんなトニーの話しを聞いていた父さんが、トニーに言った、「それは大変だったな。でもおかしいなぁ…さっきテレビで、あのお化け屋敷のオーナーが今日交通事故で亡くなって、お化け屋敷は営業を止めたって報道してたけど」。

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